エリス・へジーナのDVD

エリス・へジーナのMPB Especial-1973というDVDを買った。「Ensaio(リハーサルという意味)」というテレビ番組の映像らしい。まだちょっとしか見てないけど、なんというか音楽中心のライヴDVDというよりは、エリスの映像&全体のコンセプチュアルな映像美みたいなちょっとヨーロッパ映画っぽいアプローチだ。最初の数分など、エリスがサングラスでたわむれてる映像だけだったりする。それでも、とにかくエリスが「怒涛の天才」だというのがこれでもかというほどわかるDVDである。「こりゃホントに天才だわ」、という感じで音楽や映像とかっていうよりもエリスの天才っぷりだけで十分楽しめるDVDだ。楽器関係ってこういう「こりゃホントに天才だわ」みたいな映像けっこうあるんだけど、ヴォーカル系って少ないので貴重だと思う。個人的に大好きなピアノのセザールさんのプレイがこれまたホントに逸品、もうサイコー。ギターなしの編成(いわゆるジャズピアノトリオの編成)でのブラジル音楽演奏はこうだとかっちょいいというお手本で鼻血が出るくらい勉強になった。こういうエヴァンスとかスクリャービンとかドビュッシーっぽいヴォイシングやフレーズはギターなしベースありのジャズピアノトリオ編成でしか表現できないものなので、ギターなしってのもこれはこれでいいよなぁ、なるほどなぁという感じだった。その結果、ボサノヴァとかのラテン系なからっとした感じではなく、明らかにドイツロマン派的な内向的で瞑想的なディープな音楽になるのだろう。このDVDが白黒なので、余計にそのドイツロマン派的な「夜」な感じが強調されてる感じがする。