マイルスで1枚選べと言われたら。

さてと、マイルスで1枚選べと言われたら。
これはけっこう自分にとっては気楽っす。
むちゃくちゃマイルスフリークというわけでもないし、古来から続く無人島レコード(CD)よりプレッシャーも軽い。
中古レコード収集マニアの哀愁を描いた傑作マンガ「レコスケくんhttp://www004.upp.so-net.ne.jp/songcycle/の中でも、ミッキー吉野家という牛丼屋で、主人公レコスケくんとガールフレンドレコガールが無人島レコードについて話し合い、困惑したレコガールがソニーから出ている26枚組のコンピレーションを提示し、そりゃ違うだろ!とその牛丼屋の店長から、無人島レコードについて説教を受けるという美しい1話がある。その説教というのも、マイルスの「On The Corner」を題材にして、店長が無人島レコード(CD)における「牛丼理論」を展開するというもの。牛皿を1ジャンル、ご飯を1ジャンルに例えると、牛丼なら2ジャンル持っていけるというわけである。ようするに1枚で2ジャンル以上入ってるCDは、牛丼CDだというわけで、1枚でジャズとファンクが楽しめる「On The Corner」は、とても牛丼理論にあったCDというわけなのだ。
実はこの店長けっこうしつこくて、この牛丼理論だけならよいのだが、牛丼屋に入るとまず出てくるのはお茶だ!ということで、無人島レコード(CD)において大事なのはお茶CDだ!お茶CDとは何か!としつこく説教が続いたりする。

まぁというわけで無人島レコード(CD)だとその1枚で全人格までつっこまれてしまいそうだが、マイルスでこの1枚、というのなら「あれも好きでこれも好きだけど、1枚って言われたらこれかなー。」と言ってさっぱりまとめることができる。友達の作曲家のように「あー、一番よく聴く1枚と言われればTUTUですかねぇ。」とハッキリしている人もいる。
とりあえず「あれも好きでこれも好き」という部分からいくと、まず「Round About Midnight」の「All Of You」なんか好きですねぇ〜。特に出だしマイルスから始まってパシャ〜ンみたいな感じで、全体が始まるとことかかっこいいなぁ。またあのフィリー・ジョー・ジョーンズのパシャ〜ンって音がスカっとしていい音なんだよなぁ。あのアルバムはマイルスのおしゃれさとか深さとか空間のコントロール性みたいなものとか色々てんこもりな感じがするなぁ。
あと「Kind Of Blue」の「Blue In Green」のコルトレーンのソロだなぁやっぱり。あれはすごい。はじめてあのソロの始まりを聴いた時雷にうたれたようだったなぁ。
あと「Nefertiti」は全体的にすごいよなぁ。
あと「Bitches Brew」の「Spanish Key」もトランシーでいい。鍵盤の諸先生方もとても引き締まってて素晴らしいっすよぉ。
あと「AGHARTA」のピート・コージーも好きだなぁ。
ということでマイルスの場合、アルバムで演奏してる他の人に話がいっちゃうんだけど、マイルスだったらこれ1枚という場合、「Round About Midnight」みたいに「マイルス」が一番フロントで吹いてる感あるアルバムがいいなぁ。

というわけで長くなっちゃいましたが、マイルスだったらこれ1枚!というかすごい思い入れのある1枚はというと!
さっきのレコガールちゃんじゃないけど、コンピですいませんなんですが、ソニーの「BALLADS」、まぁソニーから出ているバラード集ですね。録音もとは、「天国の7階段」、「クワイエット・ナイト」など。
これが何回聴いてもこれぞまさに音楽だ!というような新鮮な感動を感じちゃうコンピなんですよ。
特に1曲目「Baby Won't You Please Come Home」、これがすごいいい!好きだ!とにかくこのピアノのビクター・フェルドマンの演奏がむちゃくちゃよくて、ノリノリになってしまうのだ。これだけいいとかなり影響受けるなぁ。
このビクター・フェルドマン、アレンジとかで大儲けしてて、マイルスのツアーを断ったとかいう人なんだけど(笑)、とにかくこの曲の演奏に関しては、マイルスの後ろでピアノを弾いた諸先生方よりいいと言っても過言じゃないですよ。ピアノだけじゃなく、マイルスも全アルバムの中でも最高のうちのひとつと言っても過言ではない演奏を展開。感動の嵐っす。
ゆっくりルバートからテンポに入るとこなんか、ゾゾっときますね。
3曲目「I Fall In Love Too Easily」も同じようにいいっす。

あと2曲目「Once Upon A Summertime」、4曲目「SONG#2」がいわゆるギル・エヴァンス節の演奏なんですけど、これがあのマイルス特有の永遠を瞬間に封じ込めたようなすごい演奏で、衝撃的にいいですね。
ということで、無人島レコード(CD)よりプレッシャーも軽いとはいえ、マイルスについて書くということで緊張しますね。